2016年4月から診療報酬改定
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大病院での診察は待ち時間が長いのに診療時間は3分という「3分診療」が永らく叫ばれていますが、その状況にメスが入れられることとなりました。病院と一言で言っても、地域の医院や診療所と一般病棟のベッド数が200床以上の病院とに分けられます。これらの機能を分けることにより、患者さんの分散化を図る目的で、平成18年以降、紹介状無しに一般病棟で200床ある大病院を受診すると、初診の時に特定療養費、選定療養費の5000円以下の特別料金を任意で徴収される制度ができました。初診は医院や診療所で行い、難しい病気の場合は紹介状を貰って大病院に行く、という流れになることを期待して出来た制度です。これまで任意の設定でしたが、2016年4月からは、一般病棟で500床以上の大病院を初診で受診した場合、5000円以上の特別料金(歯科の場合は3000円以上)を徴収するよう義務化されました。特別料金の金額は病院ごとに設定されます。
特定療養費がかからないケース
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500床以上の大病院での紹介状無しの初診に特別料金がかかるようになった2016年4月の診療報酬改定事項に加えて、2006年から設定されている一般病棟でベッド数200床以上500床未満の病院には、引き続き医療機関が定めた5000円以下の特定医療費がかかります。ただし、特定医療費がかからない場合もあります。救急患者、国や地方の公費負担医療の受給対象となっている患者、無料定額診療事業の対象になっている患者、エイズ拠点病院での初診と再診の場合のHIV患者、同じ施設内で他の診療科も受診している患者、医科と歯科で院内紹介された患者、特定検診やがん検診で精密検査を受けるように言われた患者、救急医療あるいは周産期医療の休日夜間受診患者、外来受診から入院した患者、地域に該当の診療科の保険診療機関が無く、実質的にその保険診療機関が診療を担っている場合、治験協力者、災害で被害を受けた患者、労災、交通事故、公務災害、自費診療の患者などです。
お薬手帳についての制度改革
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2016年4月の診療報酬改定に伴い、お薬手帳についても制度改革が行われました。お薬手帳を持たずに調剤薬局に行くと、120円(3割負担で40円)、医療費を多く支払うことになりました。お薬手帳のメリットは、これまでにどんな薬を飲んでいたか、今飲んでいる薬は何か、など、診療科や病院の枠を越えて、お薬の管理をすることが可能な点です。それによって、過剰な薬の投与や重複も防ぐことができます。さらに、お薬手帳は震災などの災害時にも役立ちます。現在の制度では、医師の処方箋無しに薬を薬局で処方してもらうことはできません。しかし、震災などが生じた時は、医師の数が不足して診察を受けられず、処方箋がもらえない場合があります。そんな時にお薬手帳を持っていれば、そのデータを元にお薬を処方してもらえます。実際に、熊本地震の時にはお薬手帳を持参すれば、薬局でお薬がもらえて、患者さん達からは喜ばれました。
病院も選ぶ時代
2016年4月の診療報酬改定で、一般病棟でベッド数500を越える医療機関を初診で受診した場合、5000円以上の特定医療費が徴収されることとなりました。大病院を受診する軽症患者が後を絶たないため、適切な医療機関に患者の分散化を図る目的です。それに伴い、お薬手帳を持たずに調剤薬局に行くと、医療費を余分に支払う制度もできました。調剤薬局に出かける際にはお薬手帳を持参しましょう。
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