2016年11月29日 更新

お薬手帳を持参すれば薬代が安くなる!?その噂の真相とは

薬局で薬を処方してもらう際に、お薬手帳を持参すれば自己負担額が少なくなるという話があります。この話を聞いて納得がいかないと嘆いている人も少なからずいるようです。 一定の条件を満たせば最大で40円の安くなるという新しい診療報酬の制度についてご説明します。

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お薬手帳の普及のために、診療報酬を改定

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お薬手帳の本来の目的は、薬の服用履歴やアレルギー体質などの情報を記入し医療関係者に伝えることで、薬の重複投与を防ぎ、患者の無駄な出費を抑制したり、患者自身が服用ミスするリスクを下げたりというものです。医療関係者からしても、短時間で患者の情報を把握できるため、業務の効率化が可能というメリットがあります。
このようなメリットがあることから、厚生労働省や日本医師会は、お薬手帳の利用を促進することに努めてきました。
しかし、2015年度時点では、実は手帳を使わない方が負担額を安くできるという状態であったため、お薬手帳の使用を控える人が少なくありませんでした。
というのも、薬剤師が患者に対して薬の服用に関する指導した際にかかる管理指導料が、お薬手帳を使ったほうが高かったからです。
具体的には、持参した人は410円かかり、持参しないと340円でした。
そのため、厚生労働省は、2016年度から診療報酬の制度を改定しました。お薬手帳を利用すれば、医療費が安くなる仕組みに変更したのです。この変更により、お薬手帳を持参すると管理指導料が120円安くなりました。
この結果、70歳未満で3割負担の方は、医療費が40円安くなり、70歳以上で1割負担の方は、医療費が10円安くなることになりました。

手帳の持参だけじゃなく、一定の条件を満たす必要がある

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実は、お薬手帳を持参するだけだと医療費は安くなりません。医療費を安くするためには、お薬手帳の持参はもちろんのこと、一定の条件を満たしている必要があります。
その条件は2つあり、①「薬局の利用が2回目以降で、6ヶ月以内に同じ薬局で調剤を受けている場合」、②「医療機関の近くにあり、主として決まった病院の処方せんを対象とする大型門前薬局は除く」というものです。①は患者自身がいわゆる「かかりつけ薬局」を決めることで、服用歴を自己および薬剤師が管理しやすくするという狙いのようです。②の条件はなかなか患者自身は正確には判断できませんね。
かかりつけ薬局で、服用履暦をまとめて管理してしまうことで、薬に関する疑問や悩みを相談しやすくなりますので、今回の改訂を機にご自身の「かかりつけ薬局」をつくってみてはいかがでしょうか。

昔は、高齢者は医療費が無料の時代があった

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現在は、現役で働いている労働人口の減少と高齢者の増加によって、保険料の負担額を徐々に引き上げる仕組みが採用されています。これは国の財政問題が要因です。
この話の後では信じられないかも知れませんが、かつて日本では、高齢者の医療費自己負担が無料だった時代がありました。その時代とは、高度経済成長期のピーク期。豊富な税収と国民の声によって、当時の首相である田中角栄の元、1973年に社会保障の大幅な拡充が行われました。
しかしその後、高齢者の医療費は増加しつづけたため、ついに高齢者の自己負担を定額負担に切り替えることになりました。その後も高齢者の医療費増加は止まらず、それに伴い高齢者の自己負担額の引き上げが行われて、2002年には1割負担に増額。
高齢者の医療費負担が無料だった1973年から、たったの10年で老人医療費が国民医療費に占める割合は2倍にまで膨れ上がりました。今後も高齢者の自己負担額は、少しずつ増加していくといわれています。

お薬手帳とかかりつけ薬局を活用しましょう

お薬手帳の利用で医療費を少額ではありながらも安く抑えるためには、一定の条件を満たしている必要があります。お薬手帳により長期的な服用履歴を正確に把握し、それをもとにした適正な服薬指導を行うかかりつけ薬局を作ることで、病気の予防・重篤化を回避し、結果的に将来的な医療費の削減効果が期待できます。
身近にかかりつけ薬局があれば、お薬や健康に関する相談がしやすくなります。この機会に自分のかかりつけ薬局を探してみてはいかがでしょうか。
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スクヨカ編集部 スクヨカ編集部