2017年2月6日 更新

おくすり手帳と医療報酬制度の移り変わり

2016年4月の診療報酬改定により、おくすり手帳を持参すると医療費を安くできるようになりました。これにより、減額された金額と、これまでの医療報酬制度の移り変わりに加え、おくすり手帳の役割についてご紹介致します。

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医療報酬改定による変化

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おくすり手帳の役割とは、薬の服用履歴を記録することで、薬の相互作用や重複投与による健康被害を減らそうというものです。その他に、医師や薬剤師などの医療従事者間で1人の患者さんの情報を共有することで、治療の適正化を図るという役割も果たしています。
手帳を利用することで、医療従事者に短時間で詳細な医薬品情報を提示できるのです。

この話を聞くととても役に立ちそうですが、それでもおくすり手帳は不要だと考えている方は意外と多いそうです。
その理由として挙げられているのが、「持ち運びが面倒」、「次回診察を受ける頃には紛失している」といったものです。
また、2015年の改定段階では持参しないほうが安くなるため、持参する人が少なかったのですが、積極的な利用を促すために、2016年の改定では「手帳を利用することで医療費が安くなる」ように変更されました。
実際に、手帳を持参した場合は医療費が120円安くなります。これは、3割負担ならば40円安くなり、70歳以上は1割負担なので10円安くなることになります。

おくすり手帳を持参するメリット

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薬剤師は、医薬品を提供する際に、薬局で保管してある服用履歴という薬のカルテに書かれている情報に加え、おくすり手帳で患者さんの現在の服用状況を確認します。
もしも、提供した医薬品が不適切なもので健康被害が発生したときには、医師と同じように責任を負うという立場で働いています。
責任のある対応をしたいからこそ、服用している薬のことは薬局と病院の両方で申告してください。
診療科等によっては医師が扱う医薬品の種類が少ないこともあり得ます。しかし薬剤師は、いわずと知れた医薬品の専門職種のため、服用している薬の詳細情報を申告していただければ、医薬品の副作用リスクを軽減させるサポートをすることが可能です。薬局で薬の服用暦を申告しない方が被害にあってしまうケースは少なくありません。

おくすり手帳を薬局で提示すれば、薬剤師が服用可能な医薬品を確認したうえで記録を行ってくれます。万が一、薬の服用に関するトラブルが生じても、おくすり手帳に処方された薬が明記してあるので重要な証拠にもなります。また、手帳を持参しなくても、薬剤情報提供文書という薬の説明書が添付されますが、おくすり手帳だと、薬剤師が確認・記録をおこなった場合と、貼り付け用のシールを渡したかを区別して記録してくれます。さらに、手帳の記録内容から、患者さんの体質、病状までわかるため、状況に応じた注意喚起、処方薬の変更にも役立つので、持参することがオススメです。
スマートフォンによる電子版のおくすり手帳もあります。これは、紛失し難いという利点がある反面、フォーマットが統一されていないので汎用性に問題があるという欠点があります。患者さん自身に合ったものを選択すると良いでしょう。

医療報酬制度の移り変わりと狙い

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私達が支払っている医療費は、診療報酬制度によって決められています。この制度は2年1度改定されるもので、2016年の4月にも改定が行われました。

診療報酬制度の改定を振り返ってみると、2010年度の改定では、おくすり手帳の発行は有料でしたが、2012年度の改定では、おくすり手帳の発行は無料になりました。
そして、2014年度の改定では、おくすり手帳の発行自体は無料でしたが利用する料金(薬剤師による確認・記録料)は患者さん持ちで、その負担額は1~3割でした。「おくすり手帳を利用しない方が医療費を節約できる」とメディアで報道されていたのはこの制度です。
つまり、有料(2010)→無料(2012)→有料(2014)と移り変わってきたことになります。

2016年4月の改定では、「おくすり手帳の発行料は無料なうえに持参すれば、医療費を減額する」という制度になりました。ただし手帳を持参して医療費を減額するのには条件があります。それは「6ヶ月以内に同じ薬局を利用すれば、自己負担額が減額される」というものです。
このようなややこしい制度が作られた理由は、安全な薬物治療を行うために利用する薬局を固定させる、つまり「かかりつけ薬局」で薬を処方してもらおうという狙いがあったといわれています。
右往左往する報酬制度に混乱している方がいらっしゃるかも知れません。医療はあくまで地域密着型のサービスなので、生活圏内の薬局で信頼できる薬剤師をかかりつけとすることで、不利益を受けないような対策を講じることが大切なのです。

おくすり手帳の今後

医療制度の設計は、必ずしも熟慮された結果ではないので、薬の服用に関するリスク回避は患者さま自身で行わなくてはいけないのが現状です。また、おくすり手帳を取り巻く状況は今後も変化していく可能性があるので、自分の健康は自分で守るという意識が大切です。
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