2016年12月26日 更新

されど40円、「お薬手帳のデメリット」を考えてみる

2016年4月に診療報酬が改定され、お薬手帳を持参すると、患者が支払う費用が安くなるようになりました。お薬手帳を持参した場合としない場合での差額は最大40円。たった40円?と思われるかもしれませんが、この40円は実は大きな数字であり、意味あるものなのです。今回はお薬手帳について、「デメリットはあるのか」ということを考えてみました。

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お薬手帳の扱いが変わった

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診療報酬は2016年4月以前にも何度も改定されています。直前の2015年の改定では、手帳を持参しないほうが医療費を安くできる仕組みという、お薬手帳を推進しながら割高になるときもあるという矛盾した制度設計でした。そのため、ネット上では「お薬手帳を断れば医療費を安く抑えられる」といった節約術の様に言われてしまい、それを知っていた人たちはお薬手帳の発行を控えることとなり、実にバランスの悪い状態となっていました。

この悪循環の状況を改善するために、2016年4月に診療報酬が改定されました。いくつか複数の条件を満たしていることが必要ではありますが、お薬手帳を持参し活用することで医療費を安くすることのできる仕組みに変更されたのです。

具体的には、手帳を持参した人は自己負担3割の患者で最大で40円安くなります。この費用は、私たちの支払う費用の中で、管理指導料とされているものです。
お薬手帳のメリットは以下でいくつか上げていますのでそちらを参考にしてみてください。お薬手帳は医師や薬剤師といった医療従事者側のメリットの他に、私たち自身にとっても有益なツールです。

お薬手帳に批判的な意見もある

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おくすり手帳を持参して医療費を安く抑えるためには、主に以下の条件を満たす必要があります。

「6ヶ月以内に同じ薬局を利用しており、なおかつ2回目以降の利用である場合」
「医療機関の近くで、決まった病院の処方せんを対象とする大型門前薬局ではない場合」

残念なことに、未だお薬手帳そのものに対してに批判的な意見や立場の人たちが一部存在するのも事実です。
そのため、一部のメディアでは今回の改定にあたり、「お薬手帳を忘れると医療費が高くなる」という、ネガティブな表現で情報を拡散していると思われるものも見受けられます。「薬代が高くなる」というニュアンスを強調し、「デメリットが存在するような訴求」を強調しているため、ミスリーディンが発生しているように感じます。
今回の改定にあたっての正しい認識の仕方は、「お薬手帳を忘れると薬代が高くなる」ではなく、「お薬手帳を持参することで、お薬手帳のメリットを享受することができ、かつ薬代が安くなる」というのが正確な表現と考えます。より良い医療を私たちが受けられるための制度であるのです。

「お薬手帳のデメリット」とは何か?

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冒頭に「お薬手帳を持参することで薬代を最大40円安くすることができる」と書きましたが、これは30%負担の患者の場合です。つまり、正価としては120円安くなっていることになります。

例えば100人の人が1回ずつ正しくお薬手帳を活用すれば、12,000円を国の総医療費から削減できることになります。10,000人なら120万円。100万人なら1.2億円。こうして数を大きくしていくと、塵も積もればで非常に大きな金額が医療費膨張の抑制につながることがわかります。

1年間で発行される処方箋の枚数は約7.3億枚(2010年度)。国民1人あたり、5枚程度の処方箋を発行している計算になります。この数の規模になれば、現在増え続ける医療費の傾向を鑑みて、お薬手帳の持参による医療費削減効果がどれだけ大きいものかがわかるかと思います。

批判や反対、それぞれの立場で意見があることも事実ですが、「お薬手帳のデメリットとは果たして何か」を今一度考えてみていただきたく思います。
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